リチャード・ヒコックスが去年の11月末に60歳の若さで亡くなっていた。 クラシックを聴かなくなってからずいぶん経つから彼の消息に通じていなかったのもしかたないが、透明感あふれるドイツ・レクイエムに魅せられたひとりとして大変なショックだ。 どちらかと言えば、バロックやマイナーなイギリス音楽を中心に、手堅い常識的な演奏をする中堅指揮者という位置づけになるのだろうか。本国イギリスのamazonでさえ、たいして評価されていない(ドイツ・レクイエムに関しては0だ)のは哀しいことだ。 ドイツ・レクイエム、第三曲の前半を覆っていた厚い雲を破って差し込む光のようなソプラノ、続く壮麗なフーガでは非ドイツ的な、透明な女声を中心とした腰の高い音を奏でているにも関わらず、その透明感と悠然としたテンポの中に永遠のニ音を聞かせつつ最後のティンパニーに至る優れた構成によって描き出されたきわめて深い確信に心を揺さぶられた日々をまざまざと思い出す。 amazonで見るかぎり、録音しなかったようだが、彼のマタイはどんなものになっていただろうと思うと、無念でならない。
by tyogonou
| 2009-06-14 23:28
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