鳩山さんよ、劉邦たれ 政権交代の「先輩」細川護熙さん
特集ワイド:’09天下の秋 鳩山さんよ、劉邦たれ 政権交代の「先輩」細川護熙さん - 毎日jp(毎日新聞)
 「連想したのは秦漢の交代劇です。この選挙、そして小沢さんを見ていて、あ、項羽だ、と感じました。<力は山を抜き、気は世を蓋(おお)う>。その力量は抜群で、秦を倒すことには有効でしたが、秦滅亡後の世の中をどうするかの展望と構想が欠けていた。なるほど小沢さんは項羽に比すべき腕力はある。でも、民主党の青写真はまだ十分に説得力のあるものではない。むしろ劉邦のように人材を集め、よく力を発揮させることができるかどうかがカギですよ」
今必要なのは、劉邦のような首相ではなく、僻地に押し込められた劉邦に中国全土を制覇するための道筋を示した韓信、本拠地をしっかりと固め、項羽に追われてあちこち逃げまわる劉邦に補給を絶やさなかったショウカのような人物ではないかと思う。各大臣が好き勝手なことをばらばらに言っている現状では、儒の礼式をもって内側から乱世の終焉をもたらした叔孫通のような人物も必要かもしれない。



Gyao!で最初の三話が無料で見られるが、若き劉邦のダメっぷりが楽しい。劉邦というのは不思議な人で、本人に特別な才覚があるわけでもなければそれほど強烈な野心家だったわけでもないのに、強大な権力の座につき、長く続く王朝を開いた例というのは世界史上にもほかに例がないのではないだろうか。
漫画『蒼天航路』は曹操を「破格の人」(もとの正史三国志では「非常の人」)と表現しているが、劉邦はさだめし「無格の人」ということになるのだろうか。才はないが、むしろないからこそ比較を絶するようなところのある人だと思う。部下の言うことをよく聞くといっても、秦が中国を統一する前、合従連衡が盛んだった時代の王たちは、他国からの説客の言うことでもよく聞いたものだし、独裁的な印象の強い始皇帝でさえ、大臣らの意見をきちんと聞いて行動しているわけで、その点で劉邦がそれほど優れていたということでもないだろう。もっとも、嫌いな儒者だからと無礼な仕打ちをしたものの、一喝されると、相手が特別名声のある人でもないのに畏れ入ってしまう素直さというのはなかなかないかもしれないが。
任侠の徒でありながら優しいところもあって、項羽に限らずいざとなれば非情な決断があたりまえだった時代に非情になりきれないのも、美点といえば美点だが弱点であったとも言える。そこは、重要なところで非情に徹した策を強く勧めることのできる重臣や、夫に代わって裏切り者を粛清できる妻などが補っていたためにたいした弱点とはならなかったのだろうし、対抗する項羽が非情さの点で傑出していたために好ましいものと見られただろうが、それでも天下統一という大事とはなかなか結びつかない。
何かわからないが皆が彼を助けたくなるようななにかがあったようでもあるが、それはなんとも説明しようがない。

結局なにが劉邦を皇帝にさせたのか、よくわからないままなのだが、それでもひとつ重要なことがあると思う。
三十六計逃げるにしかず、という。あの項羽を相手に何度も窮地に立たされながら生き延びたこと、たとえ大敗となっても、優秀な部下のおかげもあって次の反撃が不可能になるようなところまではいかなかったことが(そうはいっても逃げる時に車が遅くなるからといって自分の子どもを振り落とすぐらい切羽詰ったりしたわけだが)、最終的な勝利に結びついたのは間違いない。戦争をする、あるいは権力を握ろうとする人々はたいていプライドが高いもので、逃げろという策は、なかなかほかの国では聞かれない考え方だ。中国でそれが肯定的に捉えられるのは劉邦の例があったればこそなのだろう。鳩山首相には参考にならないだろうが、今の世に生きるには重要な考え方であるかもしれない。

余談だが、上の動画『大漢風』で項羽を演じているのは、映画『レッドクリフ』の趙雲を演じたのと同じ人だ。劉邦は雰囲気はいいが演技はいまひとつという感じもするが、総じてキャストはいい。こち亀実写版なんてやるくらいならこれを放映してほしいところだ。
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by tyogonou | 2009-09-25 20:40 | Trackback | Comments(0)
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