国連改革報告書
<国連改革報告書>安保理拡大 日本の常任理入り後押し
 報告書に明記された「常任理事国6カ国拡大案」と「準常任理事国8カ国新設案」のうち、日本は「選挙によらず、現行の5常任理事国と同等の恒常的立場を求める」(日本外交筋)との方針に基づき、「常任理事国拡大案を支持する」(原口幸市・国連大使)方針だ。その意味では、報告書が「いかなる改革案の下でも、拒否権拡大はすべきでない」とした点は日本の希望にそぐわない。
 だが、安保理拡大実現に不可欠な国連憲章改正には「国連総会構成国の3分の2の多数で採択された上で、5常任理事国を含む加盟国の3分の2が批准する」必要がある。日本はドイツ、インド、ブラジルという常任理事国有力候補国とともに、来年前半にも憲章改正に向けた共同決議案を総会に提出する見通しで、より多くの加盟国の支持獲得に向けて、拒否権をあきらめるか、発展途上国を中心に批判が強い「拒否権」にこだわるかの選択を迫られる。
ひとつ疑問なのだが、なぜ、拒否権を覆す仕組みという選択肢について議論されないのだろうか。アメリカ大統領の拒否権が上下両院の3分の2の票で覆すことができるように、安保理決議についても拒否権を覆せるような仕組みを作れば常任理事国とその他の国々との間のcheck & balanceもより高いレベルで保たれることになる訳で、現在の国連改革が目指す方向性とも合致すると思うのだが。
それから、もうひとつ。
10月ごろのニュースでは各大陸を代表する拒否権のない5-8カ国による新たなグループを設けるといったような案が出ているということだった。この案が意図していることは明確で、それぞれの地域がcheck & balanceを保つ仕組みを作ることによって地域的な不平等を解消するということを目指しているのだろうと思う。
今回発表された報告書ではそのあたりのビジョンが今ひとつ明確でなく、拒否権に対するアレルギーのようなものが前面に出てきてしまっているような印象を受ける。常任理事国の拒否権は第二次大戦後の世界におけるSuper Powerのcheck & balanceによって、多少の紛争はあっても一定の安定を保つことを目指したものであって、実際これによって米ソの対立が熱い戦争とならずにすんだことも評価してもいいだろうと思う。しかし、そういった状況について現在の視点から批判すべきことは、ベトナムやアフガニスタンのような小国の一般市民に苦痛を転嫁することによって五大国間の安定を図る構造であったということであり、そういった構造を解体するということが常任理事国の拒否権について考える際の出発点であるべきだと思う。そしてそのためには世界全体をどう分節化し、分節化された単位間の平等をどのように確保するのかというビジョンが必要なのではないかと思う。
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by tyogonou | 2004-12-02 02:16 | 国際 | Trackback | Comments(0)
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