小学四年生にそこまでの責任を要求するのか?
<キャッチボール訴訟>投げた児童両親に賠償命令 仙台地裁
キャッチボールの球が胸に当たって長男(当時10歳)が死亡したのは、外部からの衝撃で心拍が停止する「心臓震盪(しんとう)」が原因として、宮城県大河原町に住む両親が起こした損害賠償訴訟の判決が17日、仙台地裁であった。田村幸一裁判官は「死因はボールをぶつけられたことによる心臓震盪」と認定し、ボールを投げた児童の両親ら被告側に対し、計約6000万円の支払いを命じた。原告側代理人によると、司法の場で心臓震盪による死亡例が認定されたのは初めて。
(中略)
原告側は03年9月に約6200万円の損害賠償を求めて提訴。被告側は(1)軟球が当たった証拠はない(2)心臓震盪を死因とする証拠がない(3)小学生が投げたボールに当たり、人が死ぬことは予見不能――と主張していた。
 判決で、田村裁判官は心臓震盪の判断基準を(1)心肺停止前に衝撃を受けた(2)胸骨や心臓などに構造的損傷がない(3)心血管系に奇形がない――などと例示。その上で、県警の実況見分や町教委への事故報告書などから、「軟球は長男の胸腹部に当たった」と認定。「死亡につながる不整脈や既往歴はなく、死因は心臓震盪」とした。
他のブログでも判決には否定的な意見が多いようだが私も同感だ。
 原告側代理人の吉岡和弘弁護士は「米国などの海外に比べ、心臓震盪の国内での認知度は低い。司法判断が示されたことで、学校教育の場に除細動器を導入するなどの動きにつながることを期待したい」と話している。
弁護士の言うとおり、心臓震盪による死亡例が認定されたということは画期的なことであるし、その意味でこの判決には意味があると思うが、問題は心臓震盪による死亡を予見できただろうかということだ。
仮にそれだけの身体能力があったとして、小学生が思いっきりボールを投げた球が頭に当たり、脳挫傷などで死んだりしたというなら、それは予見可能なことだといえると思う。しかし、心臓挫傷が起きるためには、ある程度の強さの衝撃が必要だが、判決にもあるように「(2)胸骨や心臓などに構造的損傷が」生じるほど強くては起きないものだ。心臓震盪とは、ごく限られた瞬間に心臓の直上に衝撃が加わったときに起こりうるものだ。だからこそ、めったに起きることではないのだ。「その」瞬間と心臓の真上を狙ってボールを投げたのであれば、死ぬかもしれないことは予見できたといえるとおもうが・・・どうやって?

心臓震盪(しんぞうしんとう)とは?
スポーツ以外では、子供同士の遊びのなかで肘や膝などが当たるとか、躾としての体罰などでも起こっています。ですから、何か特別な状況で起こるのではなく、ごく普通の生活の中で起こっていることに注意しなければなりません
 心臓震盪はそれまで元気で、何の病気もない子供に起こります。学校の健康診断(心電図検査やレントゲン検査もある)でも異常がなく、リスクファクターもない子供に起こります。また、特に危険度が高いわけではないスポーツや、遊びのなかでも起こります。ですから事前の健康診断などで発生の危険を予測することができません。しかし、起こりやすいスポーツや状況が判っていますから、注意することによって発生を減らすことは可能です。ブタの実験によれば、当たるボールは硬い方が心室細動を誘発しやすいという結果です。ですから、少なくとも小中学生では大人と同じ硬式野球ボールは使用しないほうが安全でしょう。また、かつての野球練習での指導のように「取り損なったボールは胸に当てて止めろ」などという指導は小中学生にはするべきではありません。前胸部を守る防具の使用も考慮すべきですが、野球ではまだ実用的なものがありません。アンダーシャツの左前胸部にパッドを入れるなどの工夫も良いかもしれません。スポーツや遊びのなかで頭部を危険から守るのと同じように、前胸部も守らなければという意識を持つことも大切でしょう。
(太字はブログ筆者)
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by tyogonou | 2005-02-19 02:38 | 社会 | Trackback | Comments(0)
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