戦後レジーム?
もともと、「美しい国、日本」というような意味内容のないキャッチコピーを振り回すのが好きな人だから、深く考えることもないのかもしれないが、「戦後レジーム」なる言葉を聴くたび首を傾げてしまう。

レジームとは(政治)体制であり、戦後日本のそれをもっとも一般的に特徴付けるのはすなわち「自民党による一党支配体制」である。50年もの間、一時期の例外を除いてひとつの政党が政権を安定的に保持し続けたということは、民主主義国家においては特異な現象であって、分析、議論のために特別なタームが用意されるに値するが、それを表す「戦後レジーム」であれば理解できる。
実際、小泉前首相が「自民党をぶっこわす」ことの別の表現として「戦後レジームからの脱却」を言ったのであれば的確な表現といえる。もちろん、民主党の小沢代表などが、自民党にとってかわろうというという意志を表現するのにも使える表現である。しかし、安倍首相の用語法では何を意味しているのか不明で評価のしようがない。

あるいは首相の言う「戦後」はもっと短い期間、日本国憲法施行から1955年頃、「もはや戦後ではない」と宣言され、自衛隊が設立され、そして現在の自民党支配体制が確立されるまでを言うのであろうか? それならば、以降の政治体制と日本国憲法とには齟齬があるので「戦後レジームからの脱却」が日本国憲法の改正へ結びつくことも理解は出来る。ただ、首相にしろ改憲派のほかの人物にしろ、そういった文脈で議論しているわけではなさそうで、おそらく違うのであろう。また、こういった意味での「戦後レジームからの脱却」を正当化することも不可能に近い。

最初に述べたように、深く考える必要はないのだろう。
憲法を改正するなら、なぜ改正しなければならないのか、現在の憲法のなにがいけないのか、綿密な検討を加えなければならないが、なにやら専門的な香りがして一般の人にはいまひとつ意味が不明確な横文字でそれらを包含してしまうことで都合の良くない詳細に立ち入ることを回避することはそれほど珍しくない弁論術だ。それは詐欺師が好んで使う手口で、憲法改正のような重大な問題にそういった意図で適用するなら、誠実さを欠いた態度だ。
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by tyogonou | 2007-05-10 22:40 | 憲法 | Trackback | Comments(0)
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