兵は拙速を聞くも未だ巧久なるを賭(み)ざるなり
<愛知立てこもり>大林容疑者、交渉打ち切られ自ら110番
人質は自力で脱出、犯人も自ら投降、結局警察は事件解決に役立つことを何にもしなかったのか、と思っていたら、陰にプロの仕事があったというのは少し救われた気がする。

しかしそれにしても時間がかかりすぎだ。
解決までに計29時間とはいくらなんでも長すぎる。
負傷者を収容するまで5時間(怪我をした木本巡査部長から緊急無線で「もうだめだ」と連絡が入ってから3時間)。状況によっては仕方のない場合もあるだろうが、容疑者に「近づいたら撃つ」などと脅迫されたなど言い訳にもならない。意識がはっきりしていても、首を撃たれ自力では動けないのでは、命に関わる状況であるわけで、一刻も早い対応が必要だったはずだ。5時間もの間、救出どころか有効な手をひとつもうてなかったというのではあきれるほかない。

佐々淳行氏も言うように、救出作戦もおかしい。
亡くなった林警部らは、木本巡査部長を救出に向かったチームを援護する形で後方の車の陰で銃を構えていたということだが、犯人の発砲に対してなんのリアクションも起こさなかったというのはどういうことだろうか? もし銃弾が防弾チョッキを着ていない木本巡査部長や反撃できない救出チームの方向へ飛んでいたらどうなったろうか。彼らを守るための計画もなく、銃を構えたままただ見てるだけなら、訓練された特殊部隊をつれてくる必要などない。
そもそも、五時間も経ってから、ただ建物の外部にいる負傷者を運び出すだけの作戦を行うことがおかしい。そういった動きによってこう着状態が破られれば、犯人の側にも反応があることは当たり前の話であって、犯人が救出部隊を攻撃しようとするなら、人質から注意がそれ身柄の確保や射殺のチャンスであったわけだし、犯人の怒りが人質に向かう可能性を考えれば、人質の命を救うためにも負傷者救出作戦は犯人の身柄確保のための突入作戦とセットでなければならない。

発生から丸一日たって人質は自力で脱出。
たった一人の犯人の体力や判断力、集中力が24時間以上も続くはずもなく(ことにこの事件の場合、前もって計画されたわけではないのでなおさらだ)、疲れた頃合を見計らって突入してもよさそうなものだ。
だが、さらに腑に落ちないのは、人質がいなくなってから6時間もの間何もしなかったことだ。犯人は生きたまま逮捕するのが最上ではあるが、まだ銃を持っている犯人が万が一逃げ出してさらに犠牲者を増やしてしまうような事態は絶対に避けなければならないわけで、人質も以内のであれば速やかに突入してそういった危険を取り除かなければならなかったはずだ。近くで実務訓練していたということだが、いったい普段どんな訓練をしているのか、それに人質が逃げ出すまでの間には何をしていたのか。狭い空間に民間人が大勢いるなかに突入しなければならないハイジャック事件のときなどいったいどうするつもりなのだろうか?

最後に投降した犯人の身柄を確保するときもお粗末だった。
なぜ犯人が所持品を地面に置く前に警察官は飛び出していったのか。可能性は低いかもしれないが、手に持っているものがサリンのような危険なものでないという保証はない。例えなかなか言うことを聞かなかったとしても、きちんとそれらを手放すまでは警戒を怠らないのが当たり前だ。それから、ハリウッド映画なら犯人にうつぶせになることも要求すると思うのだが、立ったままというのは日本の警察の標準的な手順なのだろうか?

ここのところ、警察の特殊部隊が注目を浴びる事件が(残念なことに)いくつか起きてるわけだが、その実力は言われているほど高いのであろうか?
町田の立てこもり事件の時には、突入後大窓の外の隊員がピストルにつけたライトを頭上に掲げて室内を覗き込んでいたのを見て危険ではないのか疑問に思った。いくら便利であっても、光線の先はすなわち銃口の先となるわけで、たとえ安全装置をかけていたとしても、銃弾のコントロールが出来ないようなもち方でピストルを扱ってはならないのではないかと思ったのだが、あれは問題ないのだろうか? 一民間人である私には確かなことはいえないのだが。
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by tyogonou | 2007-05-22 23:21 | 社会 | Trackback | Comments(0)
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