核不拡散問題担当特使の発言
米特使発言の真意を確認へ 原爆投下めぐり日本政府 | エキサイトニュース
ほんの数日前、安倍首相は日本の閣僚の似たような発言について、「米国の考え方を紹介したもの」として特に問題ではないという認識を示したばかり。首相自身その見解を撤回したわけでもなく、米国の特使が似たようなことを言ったからといってわざわざ真意の確認などする必要もあるまい。
もっとも久間氏とジョゼフ特使の発言では、原爆投下によって得られた「成果」について、前者ではソ連の侵攻を防いだこと、後者では日本国民の生命を救ったこととしている点で微妙に異なっている。
ソ連の侵攻を防いだというのはアメリカの立場では「分け前が減らずに済んだ」と言い換えられなくもないわけで、正当化の根拠としては極めて怪しいものとなるが、終戦を早めて日本の一般市民の犠牲を少なくできたというのであれば、これは大変立派な考えだといえる。日本はアメリカ政府が自分達の命を救ってくれたことに感謝してしかるべきなのだろう。ふざけた話だ。
信じがたいのは、核不拡散担当特使がこういう発言をしたということだ。核爆弾が市民の犠牲を少なくするのなら、この素晴らしい兵器をむしろ積極的に広めるべきではないのか? 自国の核についての評価と、かつてのイラク、イラン、北朝鮮などの核保有に向けた努力についての評価との論理矛盾を解決しなければ、核不拡散とはアメリカなど保有国の優位を維持するための利己的な活動でしかない。

したがって、新しい防衛相の原爆投下は「人類への挑戦」だったという非難は正しい。
もっとも、日本が米国の核の傘の下にあるという現実、慰安婦決議案をめぐるやりとり、北朝鮮やイランを巡る情勢などを考えると、この問題は非常に複雑な議論に発展しかねないが、そこまで見越して発言しているのか気になるところだ。

なお、原爆投下を非難しているアメリカの学者としては、政治哲学者のジョン・ロールズが知られている。ロールズは、原爆だけでなく、日本の都市への空襲も、戦争指導者が避けなければならず容易に回避しえた(してはいけないし、しなくても戦争の趨勢に影響をあたえなかった) "great evils" であったと結論付けている。
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by tyogonou | 2007-07-05 00:15 | 国際 | Trackback | Comments(5)
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Commented by amayatic at 2007-07-05 05:46
ロールズ検索の通りすがりで、お邪魔します。
「開戦後、即座に終戦後の占領政策を構想し始めるような『余裕がありながら』も、ニューディールが行き詰まっていたことのもう一押しに、軍産学連携で原爆投下・空襲&景気浮揚&大物理実験を一気に為せる一石三鳥の方策として、必要以上の破壊を行うという・・・何か『目標に対して異常なまでに明々白々で不均衡に過大な手段』を用いてきた」という解釈が相当なんでしょうかね・・・?
いえ、川本氏のロールズを先日、前触れだけチラ見して記憶していたのと、アインシュタインなどの物理学者達の言動を少し見て思ったまでですが。
あと、別に久間さんを弁護するつもりもなければ、被爆者の方々に黙れと言うわけでもありません(本当に「少しだけ黙っててもらえないかな」と言いたい方々をほんのチラッとチラッと私の拙稿に載せていたりしますが)が、個人的に世間の論調に合わないところがありますね。まあ、気が向いた方は名前をクリックして、論駁するなり、「こんな愚か者がいるとは・・・」と嘆いて無視するなり・・・

Commented by tyogonou at 2007-07-05 13:09
とりいそぎ。
大物理実験云々とアインシュタインの関与については過大評価しすぎかと思います。
実際に形にしたという意味は決して小さいものではなかったにしても、物理学理論の発展への貢献度はそれほど大きいとは思われません。
アインシュタインの関与についてはwikipediaの「マンハッタン計画」を参照。また、既に1919年の日食時に太陽の重力レンズ効果が観測されるなど、専門家はもちろん一般にも相対性理論の評価は固まっていて、原爆による証明の必要は皆無だったと思われます。
Commented by amayatic at 2007-07-05 18:01
アインシュタインは名前を使われていただけのようですね・・・。

なお、物理学理論の発展という意味での証明よりも、物理学者がより予算を回してもらうおうと画策し、出資人に証明しようという物理学者たちの意図が見えるようですが・・・。
Commented by tyogonou at 2007-07-05 22:18
マンハッタン計画の秘密主義は、副大統領当時のトルーマンさえ知らされなかったほど徹底していて、そんな中で科学者達に働きを認めてもらって予算を回してもらおうというような意識があったとはちょっと思えません。原爆の賛否についても様々な態度が見られたわけで、たとえ一部の人にそういう助平心があったとしても、主な理由とするにはちょっと無理があるように思います。
Commented by amayatic at 2007-07-06 03:14
うーん・・・結局、計画に加わった学者達は何を求めていたのでしょうかね???そんなにナチスを恐れなければならなかったのか???
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