タレント知事
橋下大阪府知事 早くも府民から“大ブーイング”(日刊ゲンダイ) - Yahoo!ニュース
 府民が「ダマされた」と怒るのも当然だが、そもそも、最初からこのタレント知事に期待するのが間違いだったのだ。
結論を先に言えば、もともと分かっていたことだという意見に賛成である。
選挙期間中には自分の発言を「話芸」と称していたくらいだから、選挙で勝つための方便に縛られることなど思いもよらないことなのだろう。それを公約の撤回だとか「一杯食わされた」だとかいって腹を立てるの方がナイーブすぎる。もちろん、言行一致したほうがよろしいに決まってはいるが、実際に何をするのか、どんな成果を挙げるかということのほうがより重要であるから、もう少し様子を見たほうがいいと思う。

とは言え、あまり期待が持てないのも確かだ。

すでに出馬をめぐるやりとりについて、橋下氏には言質を取られることのない洗練された「話芸」が欠けていることを指摘したが、当選後の言動を見ていると、その印象はますます強くなるとともに、その理由も分かってきたように思う。

NHKの遅刻騒動について語る橋下氏の発言を聞いていると、確かに個人的な怒りの感情をコントロールできないという部分と、意識的にやっているのではないかもしれないが)自分に都合の良くない府政についての質問から注意をそらそうという部分もあるようだが、大きな影響を与えているのは、TV画面下部一行の字幕で表現できる短いフレーズを武器にした「バトル」を戦うことで視聴者を楽しませるタレントとしての習性なのではないかと思う。
橋下氏が活躍してきた世界では、論理を積み重ねてじっくり語るようなことをしていては、他の出演者の短い気の利いた発言に視聴者の注意を持っていかれてしまう。それならむしろ逆ギレであっても「NHKのインサイダー問題だって(内部調査に)どれだけかかってるんですか」などとやり返して「バトル」を成立させるのがいわば橋下氏が培ってきた芸風なのだろう。眼鏡を取った顔、多忙と不慣れから来る表情の硬さとあいまって、短いフレーズを効果的に使えない状況での橋下氏はなんだかパッとしない。
橋下氏がタレント活動を非常に大切にしていることは前から分かっていたことだし、メディアに引用しやすいインパクトのあるフレーズを提供する能力が、ぐだぐだな状況の体裁を取り繕う役に立ってもいるようで、タレントととしての行動様式をとっていることを一概に否定は出来ない。が、恐ろしいのは、橋下氏にとって府知事選出場からしてひとつのタレント活動に過ぎないのであって、政治的な問題意識も志もなにもないのではないか、ということだ。
「1クラス40人から35人にするだけで30億円予算が増えている」「効果には疑問がある」と現状の少人数学級の見直しの検討をほのめかしていたが、13日に公立学校を視察すると、「自分の教育論は『机上の空論』だった」とあっさり撤回。
ひょっとしたらそれは撤回すべき主張だったかもしれないが、たった一日の視察で机上の空論であったことが完全に理解できるのであれば、あらかじめ少しは現場を知ってから発案すべきであろう。TV出演を通じて教育関係者との知り合いもできただろうし、七人の子どもを持つ親なれば、現場を知る機会も作れただろう。すくなくとも、先に現状への問題意識があったのなら、そうしたはずだ。仮に、事前にそういう機会がもてずに机上の空論であったことに後で気づかされたとしても、もとの理想にまだ有用なものはないのか、現状に改善できるところはないのか、もっと時間をかけて様々な可能性を探るはずのものだ。それを即座に全面否定するというのは、単に「放り出した」というべきもので、そこになんの「思い」もなかったのだろうと疑わざるを得ない。
教育問題は橋下氏にとってはもっとも身近で、その分真剣に取り組むだろうと思われる領域であったが、それでこの体たらくでは、真面目に考えた上で彼の理想に投票した人たちの思いが叶う見込みはあまりなさそうに思われる。
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by tyogonou | 2008-02-21 00:56 | 国内政治 | Trackback | Comments(0)
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