死刑について その1
日本支部声明�F死刑執行停止国連決議に反対する口上書の提出で問われる日本政府の国際感覚 | ニュース | AMNESTY INTERNATIONAL JAPAN
死刑執行停止国連決議に関するニュースが出て以来、この問題について書かなければならないと思いながら今日まで来てしまった。
その間世論の動きを横目で眺めているかぎり、犯罪に対する厳罰化と死刑の肯定は政府の言うとおり確かに世論の支持を得ているようだし、死刑廃止を求める声にまともに応じようという姿勢が政府にも世論にもマスメディアにも無いように見える。常任理事国入りの問題は現在あまりホットな話題ではないとは言え、「国連で人権を主張する資格」を考えたら、死刑を肯定するにしても、反対派の批判をきちんと吟味しそれに応えていく必要があるはずだが、この記事で指摘されている民的及び政治的権利に関する国際規約第6条第六項を無視していることなどをみると、そういった必要性があるという認識すらないようだ。
「死刑はまずもって刑事司法制度の問題であり、最も重大な犯罪に対する重要な抑止力である」
死刑廃止議連も訴えていたが、死刑に抑止力が無いのは明白だし、少なくとも日本の死刑肯定派もそれを根拠とするつもりもないようで、これについては語る必要も無いかもしれない。しかし、凶悪事件が減らないというだけでなく、EU諸国のように死刑廃止の推進に熱心な国々の治安が、アメリカやこの口上書に名を連ねている国々のそれより悪いというわけではないということも指摘しておくべきだろう。死刑超大国中国並みに死刑を執行していけば日本の治安は劇的に向上するだろうか?
口上書では、「現行国際法の規定に反して死刑の適用の一時停止や廃止を導入する試みに、一貫して反対する」としており、国連総会決議を真っ向から否定しようとするものである。また「死刑は廃止されるべきであるという国際的なコンセンサスは存在しない」とも主張し、歴史的な意義を持つ国連総会決議に対し、極めて挑戦的な姿勢を示している。
仮に死刑廃止がまだ国際的なコンセンサスを獲得していないとしても、人権の尊重という大枠についてのコンセンサスは否定できない。また、北朝鮮の拉致問題などに関して日本がそういったコンセンサスを前提として活動しているのも紛れも無い事実だ。死刑廃止を導入する試みが国際法の規定に反していると主張するが、そういった試みと国際人権規約の他の条項や世界人権宣言など、人権を守るためにこの半世紀以上世界中の国々が力をあわせて築き上げてきたものとの齟齬や矛盾を指摘することが出来るだろうか。(口上書にも名を連ねているが)中国が「チベット問題は内政問題だから干渉するな」というのとどれほどの違いがあるのか。
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by tyogonou | 2008-06-19 23:58 | 国際 | Trackback | Comments(2)
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Commented by 通りすがり at 2008-06-20 00:20 x
チベット問題は虐殺ですが、死刑は法的手続きに則った正当な刑罰です。
無辜の住民を虐殺することと、凶悪犯を裁くことをさも同列であるように語るような人が、偉そうに人権を語ることに疑問を感じます。

> EU諸国のように死刑廃止の推進に熱心な国々の治安が、アメリカやこの口上書に名を連ねている国々のそれより悪いというわけではないということも指摘しておくべきだろう。
死刑を存続している日本よりは悪いということも指摘しておくべきですね。
パリにでも移住すれば。
http://sankei.jp.msn.com/affairs/trial/080618/trl0806180301000-n1.htm
Commented by tyogonou at 2008-06-20 20:29
コメントありがとうございます
>死刑を存続している日本よりは悪いということも指摘しておくべきですね。
その必要は無いと思います。
たとえ納豆を食べ続けてやせた人がいたとしても、
それをもって納豆にダイエット効果があるとはいえません。
全体として死刑の有る国々と無い国々との間に明確な差が無ければ、
死刑の抑止効果はないとみるべきです。

チベット問題と死刑の違いは、
チベット問題を非難する死刑存置国にとっては非常に重要な差異ですが、
中国にとってはそうではないでしょうし、
市民的及び政治的権利に関する国際規約第6条
を尊重する人々の目にも大きな差異とは映らないでしょう。

問題なのは、口上書がその第6条を死刑の正当化に利用していることです。
第6条の第6項でそういった援用を明確に禁じているにもかかわらず
それを無視してこういった主張をすることは
こういった条約を結んだ国々の人権を守る努力を冒涜するもので
激しく非難されるべきだと考えます。
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