2013年 12月 24日 ( 1 )
安倍首相が和食を紹介


「和食」がユネスコの無形文化遺産に登録されたのを受けて内閣府がyoutubeにアップした動画だが、2:50ごろから首相が実際にご飯を食べてみせるシーンがちょっとシュールだ。
一国の首相が、ひとりうつむいて「いただきます」とつぶやく姿は現在の日本の「孤食」の状況がよく表れている。大抵の国でこのような動画を作るとしたら、必ず家族と共に囲む食卓とか、若い人たちを集めた宴席といった演出がされたはずだ。多くの国ではファミリーマンであるということは好印象を呼ぶ重要な要素だし、「文化」について語るときその未来を担う若者たちの存在をアピールするのも重要なことだから、官邸のホールにセットされた小さな机で首相にひとり寂しく食事させるという演出は日本以外ではまずありえないだろう。むしろこれは食文化がないがしろにされている日本の状況をアピールしたいかのようだ。
追い討ちをかけるように残念なのは首相の箸づかいだ。とはいっても、箸をペンのように持っているのは大目に見よう。今やいわゆる「正しい箸の持ち方」というのは特殊技能だ。茶碗の持ち方も良くないが許容範囲としよう。
だが、箸を取り上げるとき片手で上から掴んでペン回しのようにぐるりと回して持ち、その結果大きくずれた箸をご飯に付き当てて揃え、口の端に残った飯粒を箸で押し込むという食べ方は、作法を知っていない人にも不快感を与えかねない汚らしい振る舞いだ。
箸を両手を使って取る作法はさして難しいものではないし、ずれた箸や、口の端の飯粒(ちゃんと箸がご飯をつかめてないからそういうことになるんだろうが)は、撮り直せば済んだ問題だ。私自身偉そうに言えるほど普段の作法に自信はないが、国を代表して日本の食文化を紹介するという状況ならそのくらいの気は使う。良家の出身であるはずの首相をはじめとして、この動画の作成に関わったのは高い教育を受けたエリートであるだろうに、誰も何とも思わずこれを公開してしまうという状況は恐ろしい。無形文化遺産登録なんて喜んでいる場合ではない。
[PR]
by tyogonou | 2013-12-24 21:52 | 社会 | Trackback | Comments(0)