2007年 07月 05日 ( 1 )
核不拡散問題担当特使の発言
米特使発言の真意を確認へ 原爆投下めぐり日本政府 | エキサイトニュース
ほんの数日前、安倍首相は日本の閣僚の似たような発言について、「米国の考え方を紹介したもの」として特に問題ではないという認識を示したばかり。首相自身その見解を撤回したわけでもなく、米国の特使が似たようなことを言ったからといってわざわざ真意の確認などする必要もあるまい。
もっとも久間氏とジョゼフ特使の発言では、原爆投下によって得られた「成果」について、前者ではソ連の侵攻を防いだこと、後者では日本国民の生命を救ったこととしている点で微妙に異なっている。
ソ連の侵攻を防いだというのはアメリカの立場では「分け前が減らずに済んだ」と言い換えられなくもないわけで、正当化の根拠としては極めて怪しいものとなるが、終戦を早めて日本の一般市民の犠牲を少なくできたというのであれば、これは大変立派な考えだといえる。日本はアメリカ政府が自分達の命を救ってくれたことに感謝してしかるべきなのだろう。ふざけた話だ。
信じがたいのは、核不拡散担当特使がこういう発言をしたということだ。核爆弾が市民の犠牲を少なくするのなら、この素晴らしい兵器をむしろ積極的に広めるべきではないのか? 自国の核についての評価と、かつてのイラク、イラン、北朝鮮などの核保有に向けた努力についての評価との論理矛盾を解決しなければ、核不拡散とはアメリカなど保有国の優位を維持するための利己的な活動でしかない。

したがって、新しい防衛相の原爆投下は「人類への挑戦」だったという非難は正しい。
もっとも、日本が米国の核の傘の下にあるという現実、慰安婦決議案をめぐるやりとり、北朝鮮やイランを巡る情勢などを考えると、この問題は非常に複雑な議論に発展しかねないが、そこまで見越して発言しているのか気になるところだ。

なお、原爆投下を非難しているアメリカの学者としては、政治哲学者のジョン・ロールズが知られている。ロールズは、原爆だけでなく、日本の都市への空襲も、戦争指導者が避けなければならず容易に回避しえた(してはいけないし、しなくても戦争の趨勢に影響をあたえなかった) "great evils" であったと結論付けている。
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by tyogonou | 2007-07-05 00:15 | 国際 | Trackback | Comments(5)